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米澤穂信「栞と嘘の季節」と恩田陸「六番目の小夜子」に共通するワクワクする要素

『栞と嘘の季節』の文庫版が発売されたのでおすすめしたい。本当に面白い小説だ。

僕は『栞と嘘の季節』と、恩田陸の『六番目の小夜子』が学園サスペンス小説の二大傑作だと思っている。この二つには共通する、読者にとって美味しい要素があるので比較した。

 

 

 

 

◆『六番目の小夜子』のあらすじ

六番目の小夜子ファンタジー・オカルト風味が強い。どんな話かというと

3年に一度“サヨコ”役が現れ、在校生にゲームを仕掛けていく高校が舞台。

友達同士の唐沢由紀夫と関根秋は、美少女津村沙世子が今年のサヨコだと考え、彼女を調査する。

調査の過程でサヨコゲームの歴史が判明。津村沙世子とはかつての生徒で、非業の死を遂げていた。このゲームはその子に祟られないようにするための儀式だったのだ。さて、現代の津村沙世子はただの一サヨコなのか、あるいは亡くなった津村沙世子本人(生き霊?)かもしれない

◆『栞と嘘の季節』のあらすじ

こちらはより純度の高いミステリ小説。どんな話かというと

ある高校にトリカブトを押し花にした栞が出回る。トリカブトは猛毒であり、この栞を手に入れた人は簡単に誰かを殺せる。

図書委員で仲良しの堀川次郎と松倉詩門という二人の男の子が、その栞の配り手を探す。

その過程で、美少女瀬野が事件の鍵を握っていることがわかり、二人は瀬野と相対する。

◆ 二つの小説の共通構造

この二つの小説の構造はとてもよく似ている。

大事件

まず、学校全体を巻き込んだ大事件が起きること。

『栞と嘘の季節』では毒が使われ、なんやかんや数十人が倒れる。

六番目の小夜子』では文化祭の日、サヨコにちなんだ出し物の最中に竜巻が起こり大パニックになる。

これは読者にとって、非日常的な出来事が起こってほしいという欲望を満たしてくれる展開だ。

立ち位置

もちろん、ただ混乱に振り回されるだけではいけない。みんなが困っていることに対して、「もっとも真相に肉薄しているのは俺だ」というポジションを確保しなければならない。自尊心をくすぐってくる。

美少女と対立・接近

次に、黒幕と思われる相手が美少女という点。事件の真相とはその美少女の正体なのだ。どちらの作品も物語の中盤で、二人の男の子はミステリアスな美少女と迫力満点の対決をする。

友情青春物語

第四に、友達グループものの青春小説としても秀逸であること。

六番目の小夜子』では、唐沢由紀夫は花宮雅子という少女と両思いの関係にある。その花宮雅子が津村沙世子に懐いてしまう。唐沢は「変な奴と絡むなよ」と思いつつも、結局唐沢由紀夫・花宮雅子・関根秋・津村沙世子の四人で行動することが増え、互いに友情を深めていく。物語の構造は[唐沢&関根]VS[津村沙世子]で探り合いつつ、起こっているエピソードは四人のかけがえのない青春の一ページなのだ。

『栞と嘘の季節』も近しい構図だ。瀬野さんとは対立しているのに、場面としては三人の協力関係で進む。もう一人の重要人物として東谷さんという女の子が登場する。堀川と松倉とは元々仲が悪いものの、彼女も事件解決に大きな役割を果たす。男2女2のグループの物語である点も共通している。

まとめ

六番目の小夜子』と『栞と嘘の季節』は、

  1. 主人公は仲良しの男の子二人
  2. 学校で大事件が起こり
  3. 主人公たちはその調査をし
  4. 鍵になっている美少女を詮索し
  5. 美少女と敵対しながらも近い関係になり
  6. 協力して問題に取り組み絆を深め
  7. 他の生徒が知らない真相に近づいていく

という“おいしい”要素がぎゅっと詰め込まれている。

まさに「自分の高校生活がこうだったらいいのにな」と思わせてくれる作品である。

ぜひこの二作を読んでみてほしい。

2台のMacBookを1セットのモニタ・キーボードで扱う

試行錯誤の末、2台のMacBookを1セットのモニタ・キーボード・マウスで扱う方法を確立したので紹介する。

まずノートパソコン用アームで2台のPCを縦に並べる。

ノートパソコンの蓋は常時開いておく。

2台をThunderbolt切替機に繋ぐ。

切替機からハブを通してモニタ・キーボード・マウスに繋ぐ。

外部ディスプレイをメインにし、本体側の画面をミラーにする。

 

クラムシェルではダメなのか

どうみてもダサいのはノートパソコンの塔だろう。なぜ蓋を閉じてクラムシェルにしないのかというと、指紋認証を使いたいからだ。切替機を使った運用では一日に何度もロック画面を解除することになる。その度にパスワードを打ち込むのはめんどくさい。

また、ディスプレイの切り替えには少し時間がかかるので、本体側の状況を把握できないとストレスになる。今スリープ中なのかロック画面なのか、あるいはロックが解除されて操作できる状態なのか、外付けディスプレイのリアクティベート中に視認できるのでよい。

 

なぜミラーにするのか

せっかくだからノートパソコン側の画面も作業領域として使えばいいではないかというと、これはやめた方がいい。まず目から遠いので疲れる。また、モニタが頻繁に増減する環境だとマウスやウィンドウが迷子になりやすい。時折接続不良などで外付けディスプレイが付かなかった時に、いま何が起きているのか把握しやすい。そもそも、作業領域が足りてないならデカいディスプレイ買うことをお勧めする。

 

ノートパソコン用アームは二つも必要か

縦に並べるだけなら1本でいいと思ったかもしれないが、会社支給パソコンに味噌汁ひっくり返す懸念があるのでお勧めしない。2台とも地面から離しておこう。

 

必要なもの

 

モニタアーム(高さ80cm以上が望ましい)

 ノートパソコン用トレイ2台

 https://www.amazon.co.jp/dp/B07FLZ5HNX ¥3,900

 https://www.amazon.co.jp/dp/B07QXW47NW ¥1,900

 https://www.amazon.co.jp/dp/B0C74177C4 ¥1,799 * 2

 

Thunderboltの切替機

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B0CLZ7WP1N ¥7,199

 

Thunderboltハブ

https://www.amazon.co.jp/gp/product/B093FKT9BF ¥4,899

 

総額20,000円くらい

 

ケーブルには注意しよう。ディスプレイとMacBookの間のケーブルは全てThunderbolt3、ないし4K 60Hz対応と書いてあるものを買おう。僕も理屈はよく知らない。ディスプレイ選択画面で60ヘルツを選べたら成功だ。間に一個でも遅いケーブルが挟まっていると全体が遅くなる。

 

2023のBest本

少女事案

 

 

高校生の男女が、最近起こっている連続殺人事件と対峙しながら、過去に自分たちが巻き込まれた誘拐事件の清算を目指す話。

主人公である幸路君とその幼馴染である月子の二人は、過去の事件のトラウマにより難しい境遇にある。そんな二人は殺人犯に狙われている文香という幼女を保護することになる。どうやら過去と現在の二つの事件は深く関係しているようだ。同一犯か、あるいは模倣犯か。幸路と月子は文香を匿いつつ、もう一度過去の事件に向き合うことになる。

話の筋としては『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』に近い。しかしどちらかといえば全盛期の富士見ミステリのノリに近いとも思う。暴力と性の生臭さ。そんな世界をドライブする軽薄な男の子。さよならトロイメライとかね。僕はだいぶ好きな感じ。

世界の果てのランダム・ウォーカーの作者の新作という意味でも安定感抜群。今年の最面白小説だと思う。

 

 

 

 

でぃすぺる

 

 

小学生3人からなる少年探偵団的な組織が、町の七不思議の解明を目指す中で、巨大な陰謀に巻き込まれる話。

探偵団メンバーのサツキは、前年に殺人事件で従姉であるマリを亡くしていた。マリのダイイングメッセージ的なモノによると、七不思議がこの事件に関係しているようだ。マリの死はオカルトなのか人為的事件なのか、という観点から調査を始める3人。

この話の面白さは、七不思議と殺人事件の真相が気になるという事が半分、3人の関係が成熟していく様を共に喜びたくなるという事が半分。

それにしても、小学生リーダー的女子というキャラクターっていいよな。類例を挙げるなら雨を告げる漂流団地の夏芽などが好キャラクターだろう。大人が主人公の物語には出せない面白さがある。中学生にもなったら男女が本気でケンカしなくなるからかな。

 

 

十戒

 

 

絶海の孤島で殺人事件が起こるという、クローズドサークル物のミステリ。最初の殺人事件の直後に犯人から「決して犯人を捜さないように」とお告げがある。曰く、この殺人は皆を守るために必要なことであり、犯人探しをしなければこれ以上は手出しをしないので大人しくしているように、とのこと。

そこから始まる「突っ込んだら負け」の生活。犯人が特定できないように全員で協力しつつ救助を待つ。誰かが疑われ始めたらさりげなく庇いあう。かなり滑稽。でも確実にこの中に犯人がいるという人狼的不気味さ。

面白かったのは、犯人を明かさずに犯人の証拠隠滅に協力し合うアルゴリズムを駆使するところ。世界でもっとも強力な9のアルゴリズムを読んだ時の興奮を思い出した。

今年のベストミステリー小説だと思う。

 

 

「若者の読書離れ」というウソ

 

 

小説ではなく新書。

ライトノベルは若者の読み物とは言えなくなっている。その分、児童書が充実している。最近の中高生は児童書を読んでいる。という話。

ヨモツイクサ

 

 

いわゆる動物パニックモノ。熊退治に向かったハンターが、熊より恐ろしい謎の生き物に襲われる。

ラスト一気の伏線回収で真相が明らかになるところが凄い。ミステリ小説として優れている。ただ、動物パニックものにありがちな、作者が話を盛り上げ得るためにあえて登場させる無能キャラはかなり気になったので何とかしてほしい。

 

【自作PC】ファンコントローラーを買え

君はファンコントローラーを知っているかい?
僕は知りませんでした。

ファンコントローラーとは

電源ユニットとファンの間に接続し、ファンの回転速度を調整するPCパーツ。
ツマミが付いていて、これで回転数を変更できる。

背景

僕は最近グラボの発熱に悩まされていた。特定の重い作業をしている時だけ90℃に達するのだ。これは良くない。

そこで、僕はPCケースファンを数個買ってきて取り付けた。これだけで40℃に下がった。ファンの力は偉大だ。

ところが、また新たなる問題が発生した。ファンがあまりにもうるさいのだ。

パソコンをつけっぱなしで寝る僕にとっては重大な問題だ。

というのも、マザーボードのファンソケットはすでに埋まっていたので電源ユニットから直接給電したのだ。当然、ファンは常時全力投球することになる。もうすこしこう何というか、手心というか。

仕様

そこで色々調べたところ、ファンコントローラーというものの存在を知り、即座に購入した。1,000円くらいだった。
僕が買ったファンコントローラーはペリフェラル4pinコネクタで入力し、2pinファンコネクタで出力するものだ。3.5インチベイ(フロッピードライブとかつけるところ)でPCケースの前面に装着できる。

PCIスロットに装着するモデルもあった。ケースに3.5インチベイが無い人はこっちを買うといいだろう。背面になるのでちょっと触り辛いけど。



普段は回転数を落として置き、重い作業をするときだけ耳栓をして風力最大にすればいい。

これで安眠が返ってきた。

買うに値するChromebookが無い

ノートPCが欲しい

僕は、普段の仕事と趣味プログラミングのPCとして、WindowsのデスクトップPCを使っている。

お出かけ用にノートPCを買い足そうと思い立った。

Chromebookを試してみた

自分の用途としてはChromebookが最善ではないかと思い、いくつか試してみた。

OSは大変素晴らしい。
自分の世界観にバッチリフィットしている。
お出かけ用PCとしては最高の体験だった。

Chromebookはハードウェアがダメだ

しかし、ハードウェアとしては全然だめだ。
どのChromebookPCも、共通してこのような問題があった。

まず、タッチパッドが滑りにくい。
また、タッチパッドの押し込みが固すぎて人差し指が慢性突き指のような状態になる。
(個人的な好みとして、押し込みではなくタップを左クリックとみなす設定は使いたくない)
さらに、ヒンジが固すぎる。
ノートPCを閉じた状態から、片手で画面だけを持って開こうとすると、底側もついてきてしまう。
その割に、ちょっとした振動で画面が揺れる。膝にのせて作業すると酔うのではないか。
画面がタッチパネルになっているものも多いのだが、画面に触れると画面がバインバイン揺れる。

ところで、ChrobebookというのはOSの名前だ。
↑に挙げた欠点はハードウェアとしての欠点である。
しかし、僕はあえてこれをChrobebookの問題点と主張したい。
Chromebookはハードウェアがダメ過ぎる。

僕は電気屋さんで触れるだけ触り、
友人の伝手で何台か実際に使ったうえでこの主張をしている。
本当にどの機種もハードウェアがダメなのだ。

MacBookはハードウェアが素晴らしい

半面、MacBookはOSとしてあまり好きではないが、
どの機種もハードウェアとしては素晴らしい。

タッチパネルはサラサラで、押し込みの反発もちょうどいい。
ヒンジの調節は絶妙である。
片手で開けることができるし、振動で画面がフラフラしたりしない。

なぜこうなるのか

MacBookの一番安いモデルであるMacBook Airが13万円だ。
Chromebookはほとんどが5~6万円である。
つまり、単純にお金の問題である。

Chromebookは安物PCのためのOSとしての立場しかなく、
10万円台のラインナップがほとんどない。

僕は安いからChromebookが使いたいのではなく、
Chromebookの世界観が好きだからChromebookを使いたいのだ。
そして、快適にChromebookを使うためには13万円出してもよい。

ちゃんとハードにお金をかけたChromebookの登場が望まれる。

PS

待てないからMacBook Air買った。

 

左右分離型イヤホンよりもSonyの『WI-C310』を熱烈にお勧めする。

この記事は、「私もそろそろ左右分離型イヤホンデビューしちゃおうかな〜」という方に向けて書いています。

左右分離型イヤホンよりも、SonyのWI-C310という商品をお勧めします。

www.sony.jp


こういう形をしています。

 




特徴は、見ての通り左右が線で繋がっていることです。

おすすめの理由

電池の持ちがいい


多くの左右分離型のイヤホンの連続稼働時間は、大体4時間くらいです。小さいですからね。仕方ないと思います。
それに対しWI-C310は15時間ということになっています。公式発表では。本当かどうかは知りません。僕は15時間も音楽を聴き続けたことがないので。10時間使い続けても電池は切れませんでした。

落とさない


左右分離型を使いたくない最大の理由は線路とかに落としそうだからですよね。WI-C310にはそういう心配がありません。

失くさない


出先に左右分離型を持っていくとなると、右・左・ケースと、『失くすと困るもの』を三つ持っていくことになります。注意力散漫勢には厳しみがあります・
WI-C310なら、全部繋がっているので大丈夫です。

音質がそこそこいい


少なくとも第三世代AirPodsやBeats Studio Budsよりも良いです。
「私は音質とか拘らないし〜」っていう人いそうですが、聴き慣れた曲をBeats Studio Budsで聞くと明らかに低音が足りてないのがわかります。絶対気になると思います。音声通話での使用がメインの人なら止めませんが、音楽を楽しみたいならやめといた方がいいです。
WF-1000XM4よりは悪いです。
あと、若干ホワイトノイズが乗ってるのが気になります。

安い


4,000円のイヤホンを安いと思うかどうかは人それぞれだと思いますけども。
左右分離型のハイエンドの製品は2万円を超えています。
それに対して、繋がっててもいいなら4,000円だと思うとまあそれでもいいかなって気がしますよね。

外せる


外で音楽を聴いてると、とっさにイヤホンを外したいことは結構あります。
急に話しかけられた時とか。
もちろん、左右分離型でも音を止めたりノイズキャンセルをオフにすれば人の話は聞こえます。
ただ、絶対線を引っ張って外す方が速いです。
ちなみに僕は、コンビニのレジに並ぶ時は必ずイヤホンを外すことにしています。一応礼儀の問題として。
イヤホンを外すのは、相手に対しても『聞くよ』っていうサインになるので良いです。誰かに話しかけられた時に、左右分離型イヤホンのボタンを押して音楽を止めても、相手からしたらこちらが何をしていたのかわからないですね。その点、これ見よがしにイヤホンを引っ張って耳から外せば、『ごめん、今の話聞こえてなかったから最初からお願い』という意味だと伝わります。

物理ボタン


左右分離型は、操作が結構大変です。まず、多くの製品は物理ボタンではなくタッチセンサーです。タッチセンサーは結構押し間違えると思ってください。
操作は『・』で停止再生、『・・』で次の曲、『・・・』で前の曲、みたいなコマンドになっています。覚えるのも結構面倒です。
その点、WI-C310は大きな物理ボタンがついているので操作がしやすいです。

みんなの疑問点


線は邪魔なのか


まあ、左右分離型に比べれば邪魔ですね。デスクワークならほぼ気になりません。歩行も大丈夫です。走ったり運動したりすると完全に邪魔です。

線は絡まるのか


全く絡まらないです。僕はかなり乱雑にカバンの中に突っ込むのですが、絡まることはありません。
普通の有線イヤホンの形を表すと『Y』ですよね。WI-C310は『U』です。
YがUになるだけでこんなに絡まらなくなるのかと思いました。

カナル型は嫌だ


まあ、これの人はいると思います。耳に何か突っ込むのが嫌だって人ね。咀嚼音とか聞こえてくるし。そういう人には別の製品をお勧めします。

結論


僕はこうしています。
自宅の中:左右分離型
外出:WI-C310
二つも買いたくないということならWI-C310を買うのが一番良いと思います。

最近の面白いラノベを紹介する。

タタの魔法使い

2018年のラノベ。学校丸ごとファンタジー世界に飛ばされてしまった高校生たちが、みんなで協力する術を覚えて帰還を果たす話。

最大の特徴は、学校全員で飛ばされたという点だ。
一般的に言ってこのジャンルの王道は、『ゼロの使い魔』や『リゼロ』のように主人公だけが飛ばされるパターンだと思う。このパターンでは新しい世界での出会いが主軸になる。
それに対して『タタの魔法使い』では既存の人間関係を持ち込んでストーリが始まる。これにより彼らは、今までどれほど大事な仲間に囲まれていたか再確認することになる。

この小説は英雄譚ではない。冒険のカギは、ずばり組織力だ。
ファンタジー世界に飛ばされた学生・教員たちには様々な試練が襲い掛かる。その難易度も絶妙である。基本的に1,000人規模の集団として正しく対処すれば何とかなるような問題しか起きない。

しかし残念ながら、序盤では全員であたふたしている間に数百人の死傷者を出してしまう。
そこから組織として成長していくことに感動できる。
シン・ゴジラに近いかもしれない。

ここでいう組織力とは、数人の仲良しグループの信頼関係のようなものではない。
1,000人規模の集団としての成長を描いた物語だ。

例えば、

  • 各自の個性をどのように把握できるか
  • 連絡をどのように取り合うべきか
  • もっとも戦闘力が強い人をどこに配置するか

など、様々なテーマで好奇心をそそってくる。

面白かったのは、校長先生の扱いだ。
この校長先生は、序盤に悪手を連発して大量の犠牲者を発生させてしまう。まあ、はっきり言って無能な人だ。そういう描かれ方をしている。
それでも、この集団は責任者に何をさせるべきかを学習することができた。そこで一気に潮目が変わり組織として安定し始める。

もし学校が丸ごとファンタジー世界に飛ばされたらというifを楽しめる素晴らしいラノベだ。

世界の果てのランダム・ウォーカー

2018年のラノベ強力な科学を持つ大国セントラルから、文明の劣る国々を調査するために派遣された二人の調査官が、さまざまな出来事を通じてセントラルの謎に迫る話だ。

キノの旅に似ているというレビューが多かった。確かに似ている。

奔放な上司の女性と、皮肉屋な部下の男性の二人組で、部下の男性のほうが語り部だ。
この男性、普段は上司の悪口ばかり言っているくせに、困ったら泣きつくところがかわいい。ナイスコンビだと思う。

面白いことに、強力な科学を持つ大国セントラルは、その存在自体を文明の劣る国々に秘密にしている。寝首をかかれるからという理由らしい。

なのでこの二人の調査官は、自分たちがどこから来たかを秘密にしなければいけないし、
すごく便利な科学道具を持っているが人前では使えないという縛りが生じている。

終盤、部下の男性は上司の女性と離れ離れになってしまう。
頼りの綱を失った状態で見せる彼の成長が見どころだ。

オーバーライト――ブリストルのゴースト

2020年のラノベイギリスのスプレーアート界隈を描いたラノベだ。スプレーアートというのはシャッターとかにに落書きするアレだ。珍しい舞台設定だと思う。表紙を見てもラノベとしてかなり異色の作品だとわかるだろう。

主人公は日本からの大学生で、そこで元伝説のスプレーアート師と出会い、行政との摩擦や派閥抗争に巻き込まれるなかで、界隈の歴史と掟を学んでいくというシナリオだ。

スプレーアート界というものに興味が沸く、面白い作品だった。著者の実体験をもとに書いたらしい。

インフルエンス・インシデント

2021年のラノベ

人気インスタグラマーなショタをストーカーから守るために、平凡な女子大生が頑張る中で、人々の心の闇を見つめていく話。

導き手になる白鷺玲華教授がエキセントリックでいいキャラしてる。

序盤では『無垢な男の子』として描かれるインスタグラマーが、徐々に『アブないヤツ』に思えてくるハラハラ感が良い。

最終的には女子大生が拳で解決。蘭姉ちゃんかよ。

オリンポスの郵便ポスト

2017年のラノベテラフォーミングが頓挫し、地球に見捨てられたた火星が舞台。そんな火星で郵便配達員として働く少女が、機械の体を持つおじさんをオリンポス山の頂上まで配達する話。

飄々として浮世離れしたおじさんと突込み役の常識人系少女のコンビは、まるでドラマ『相棒』の右京さんと亀山君のようだ。

郵便配達員が主人公の小説だけあって、所々で手紙ネタで泣かせに来るのが憎い。ヴァイオレット・エヴァーガーデンとか泣いちゃうもんね。

この火星は見捨てられた土地だ。ギャング組織などもはびこっているし、もちろん組織の中の人々も丁寧に描かれる。
正義側であれ悪役であれ、一人一人がこの地で生きる意味をひたむきに探している様子に胸を打たれる。

キネマ探偵カレイドミステリー

2017年のラノベ。天才的な頭脳を持つが絶対に部屋の外に出たくない映画ヲタクが、映画の知識をもとに町の事件を次々と解決する安楽椅子探偵モノ。ワトソン役である大学生が語り部

実在する様々な映画に言及されるが、見たことなくても大丈夫。

ラノベで大学生の男コンビが主人公というのはちょっと珍しいかな? この天才映画ヲタクはハウルのように超神経質な人なのだが、彼の挙動が面白い。

君と僕との世界再変

2018年のラノベ。原題が『オーウェルによろしく』だったらしい。典型的なディストピア小説のフォーマットをとっている。人間の価値が数値化された世界で、ただ一人数値がゼロである主人公が、生活のために町の汚れ仕事を請け負う中でこの世界の真相に迫る話。

世界観設定が上手いね。

葡萄大陸物語 野良猫姫と言葉渡しの王

2019年のラノベ。放浪の身になった主人公が、王家に雇われ、その家のお姫様に好かれる話。

お転婆を通り越して野生児味があるお姫様と、そのお世話役の女性の絆が美しい。
お姫様、いつもわがままばかり言っているのに、お世話役の女性が侮辱されたらキレて暴れ散らかすんだよ。
そしてそんな二人と主人公のかかわりも面白い。
そういえばこの座組、ハヤテのごとくと一緒だな。

ただのラブコメかと思いきや、「大国に囲まれた弱小なこの国をどうやって存続させるか」をかけた頭脳バトルが本当にアツい。

豚のレバーは加熱しろ

2020年のラノベ。まあ、僕がお勧めしなくてもすでに人気だけど。アニメ化されるらしいね。

ファンタジー世界に転生したらブタだったっという設定。
この時点で出落ちじゃないかと思ったが、そこからのストーリ展開がしっかりしていた。

主人公は、全く人を疑わなない無垢な少女と出会う。
彼女をとある場所まで旅させることができれば元の世界に戻れるかもしれない、という流れ。

純粋な少女の代わりにひたすら目に映るすべてを疑い、手を尽くして旅を成功させるシナリオは秀逸。

文章も非常に読みやすい。

ユア・フォルマ 電索官エチカと機械仕掛けの相棒

2021年のラノベ。これも大人気だね。本屋さんで面陳列されてるもんね。

電索官という刑事みたいな職業の女性が、相棒であるロボットとともに難事件を解決する話。女性の方が語り部になっている。

高慢チキな女性と、彼女を掌の上で転がすロボットの相性が抜群で面白い。

かなりSF色が強く、ストーリーにあんまり関係ないところまで設定を練りこんでいる点も好感。